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- 冷却水の水質検査とは?~基準値項目編~
冷却水(基準値項目)
項目 | 冷却水系 | 冷水系 | 温水系 | 傾向 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
循環式 | 一過式 | 低位中温系 | 高位中温系 | |||||||||
循環水 | 補給水 | 一過式 | 循環水 (20℃以下) |
補給水 | 循環水 (20~60℃) |
補給水 | 循環水 (60~90℃) |
補給水 | 腐食 | スケール 生成 |
||
基 準 値 項 目 |
pH (25.0℃) |
6.5~8.2 | 6.0~8.0 | 6.8~8.0 | 6.8~8.0 | 6.8~8.0 | 7.0~8.0 | 7.0~8.0 | 7.0~8.0 | 7.0~8.0 | ○ | ○ |
電気伝導率 (mS/m) |
80以下 | 30以下 | 40以下 | 40以下 | 30以下 | 30以下 | 30以下 | 30以下 | 30以下 | ○ | ○ | |
塩化物イオン (mgCl-/L) |
200以下 | 50以下 | 50以下 | 50以下 | 50以下 | 50以下 | 50以下 | 30以下 | 30以下 | ○ | ||
硫酸イオン (mgSO42-/L) |
200以下 | 50以下 | 50以下 | 50以下 | 50以下 | 50以下 | 50以下 | 30以下 | 30以下 | ○ | ||
酸消費量(pH4.8) (mgCaCO3/L) |
100以下 | 50以下 | 50以下 | 50以下 | 50以下 | 50以下 | 50以下 | 50以下 | 50以下 | ○ | ||
全硬度 (mgCaCO3/L) |
200以下 | 70以下 | 70以下 | 70以下 | 70以下 | 70以下 | 70以下 | 70以下 | 70以下 | ○ | ||
カルシウム硬度 (mgCaCO3/L) |
150以下 | 50以下 | 50以下 | 50以下 | 50以下 | 50以下 | 50以下 | 50以下 | 50以下 | ○ | ||
イオン状シリカ (mgSiO2/L) |
50以下 | 30以下 | 30以下 | 30以下 | 30以下 | 30以下 | 30以下 | 30以下 | 30以下 | ○ |
① 項目の名称とその用語の定義及び単位はJIS K 0101による。
② 欄内の○印は腐蝕又はスケール生成傾向に関する因子であることを示す。
③ 温度が高い場合(40℃以上)には一般的に腐食性が著しく、特に鉄鋼材料が何の保護被膜もなしに水と直接触れるようになって
いる時は防食薬剤の添加、脱気処理など有効な防食対策を施すことが望ましい。
④ 密閉冷却塔を使用する冷却水系において、閉回路循環水及びその補給水は温水系の、散布水及びその補給水は循環式冷却水系の、
それぞれの水質基準による。
⑤ 供給・補給される源水は、水道水(上水)、工業用水及び地下水とし、純水、中水、軟水処理水などは除く。
冷却塔で使用される「冷却水」は、冷却塔の運転状況によってスケールの生成や腐食を引き起こす可能性があります。
冷却水起因の設備トラブルを防止するために(冷凍空調機器用ガイドライン JRA-GL02:1994 社団法人 日本冷凍空調工業会 [画像参照])を基にした定期的な水質検査を行うことが勧められています。
冷凍空調機器用水質ガイドラインは、基準値項目(全8項目)と参考項目(全7項目)に分かれていますが、今回は基準値項目についてご説明します。
◆pH
使用する水に腐食・スケール生成の傾向があるかどうかを知ることができます。冷却塔の構造上、水が濃縮されると、pHは上昇する傾向にありますが、現場環境によってpHが変動する場合もあります。
◆電気伝導率
使用する水に腐食・スケール生成の傾向があるかどうかを知ることができます。電気伝導率が高ければ、それだけ水が汚染されている可能性が高いため、汚染の度合いも知ることができます。
◆塩化物イオン
使用する水に腐食の傾向があるか知ることができます。電気伝導率と相互性もあるため、合わせての確認がおすすめです。水道水には殺菌のために塩素を注入しているため、数十ppm程度含まれています。
◆硫酸イオン
使用する水に腐食の傾向があるか知ることができます。pH、電気伝導率と相互性もあるため、合わせての確認がおすすめです。近くに煙突がある場合、大気中の亜硫酸ガスが混入する可能性があるため、注意が必要です。
◆酸消費量
使用する水にスケール生成の傾向があるか知ることができます。酸消費量が高くなると、スケール生成の他に、藻やスライム発生の可能性も高くなります。
◆全硬度
使用する水にスケール生成の傾向があるか知ることができます。水中に存在するカルシウムイオン、マグネシウムイオンの量を炭酸カルシウム換算した形で表します。スケール生成の傾向を知る、最も重要な分析項目とも言えます。
◆カルシウム硬度
使用する水にスケール生成の傾向があるか知ることができます。水中に存在するカルシウムイオンの量を炭酸カルシウム換算した形で表します。カルシウム硬度が高ければ、それだけ炭酸カルシウム主成分のスケールが発生しやすくなります。
◆イオン状シリカ
使用する水にスケール生成の傾向があるか知ることができます。イオン状シリカが高ければ、シリカ主成分のスケールが発生しやすくなります。シリカスケールはスケール内でも除去が大変なため、イオン状シリカの値には注意が必要です。
冷却水の水質検査は、
①冷却塔メーカーの定める保守点検周期
②空調設備の使用ピーク時期
以上のことを考慮して計画的に行いましょう。